20世紀を間近に控えた1895年にリュミエールにより初めて公開上映されてから、映画はたちまち全世界で第一級の娯楽の場を提供するようになった。1926年のハリウッドも繁栄の最中にあったが、その混乱期の中で俳優を含めた関係者たちは劣悪な労働条件を余儀なくされ、組合が結成されようとしていた。これに危機感を抱いたMGMのルイス・B・メイヤーが中心となり、1927年5月に俳優、監督、脚本家、撮影監督、製作者を代表する36人の創立委員により「映画芸術科学アカデミー」が設立された。当時の人気スター、ダグラス・フェアバンクスを会長とし、映画産業の発展と社会への貢献をうたい、関係者の結束ををはかり、非営利組織だった。同時に副次的な活動として映画界への業績を表彰するアカデミー賞が制定された。 第一回受賞式は1929年5月にハリウッドのルーズベルト・ホテルで開かれた。作品賞の「つばさ」をはじめとして、12部門の受賞者に対して約34センチの錫製のオスカー像が手渡されたが4分あまりの簡素な式であり、今日の隆盛を予測する者は誰もいなかったはずである。あまり知られていないが、このときチャップリンは特別賞を受賞している。しかし、アメリカを追われた彼がほんとうの喜びの涙にむせぶのは、再び特別賞を受賞した43年後になる。参考文献:キネマ旬報社刊「アカデミー賞50回事典」 |